動画が話を伝えたり、人々の心に響いたりする力は、人とのつながりを深めるのに効果的です。マーケティング担当者が動画をよく使う理由も、そこにあります。
しかし、最新の調査によると、話はそれほど単純ではありません。マーケターの約67%が、この1年で動画が自分の仕事にとってますます大切になったと感じています。けれど、動画を十分に活用していると考えている人は、わずか7%しかいません。あなたは、動画を十分に活用していると言えますか?
【はじめに】
これからご紹介するデータは、アメリカ最大のコンテンツマーケティング研究部門Contents Marketing Institute が最近実施した調査結果に基づきます。「データはアメリカのもので、日本は全く異なる市場だから、自分たちは関係ない。」自信をもって、ほんとにそう言い切れるでしょうか?
アメリカでは、動画マーケティングは非常に普及しており、多くの企業がマーケティング戦略の中心として動画コンテンツを活用しています。日本でも動画マーケティングの重要性は認識されつつありますが、アメリカほどの普及率ではありません。伝統的な広告媒体やテレビCM、SNSへの広告といった、従来型の訴求方法がまだ高い状況が見られます。そんな中、 企業による動画コンテンツの活用は徐々に拡大 しています。日本がアメリカから遅れを取っている分野は、特に新しい技術の活用、データ分析を取り入れ、改善を繰り返してより良い顧客体験を視聴者に届ける、そして動画コンテンツの革新性と多様性においては明らかなギャップが存在します。特にグローバルでビジネスを展開している日本企業にとっては、このギャップを埋める必要があると考えます。動画マーケティングの波は少しずつですが、確実に日本にやってきています。そのことを認識し、まず初めの一歩を踏み出すことが大切です。
【第一章 動画の使い方、種類、作り方、そして直面する問題について】
マーケティングの世界では、動画の役割はとても大きいのです。マーケターの67%が、この1年で動画は、自分たちの仕事にとってますます重要になってきたって言っています。
回答者の77%がソーシャルメディアの動画を使っていて、これが最もよく挙げられるタイプです。半数以上の人が、動画を以下の用途で使用しています:
ブランドの物語、例えば短編映画、シリーズ、ドキュメンタリー(61%)
ハウツーや説明的なトピック(59%)
インフルエンサーや専門家とのインタビュー(54%)
ケーススタディ、推薦文、お客様のストーリー(51%)
会社のリーダーによる思考リーダーシップメッセージ(51%)製品の概要/デモンストレーション(45%)
自組織や従業員に関するストーリー(41%)
外部向けトレーニングビデオ(24%)
ライブストリーミングビデオ(24%)
その他のタイプ(4%)に動画を使用しています。
◎どのタイプが最も効果的ですか?
マーケターの54%が、ソーシャルメディアの動画が最も良い成果をもたらすと言っています。51%がケーススタディ、推薦文、お客様のストーリーを挙げ、48%がハウツー動画、44%がブランドの物語、41%がインフルエンサーや専門家とのインタビューを挙げています。
◎マーケターはどのプラットフォームに動画を一番よく投稿していますか?
79%の人がYouTubeに投稿していると言っています。
その次に多いのはLinkedIn(76%)
Facebook(72%)
Instagram(71%)
X(38%)
TikTok(28%)
その他(6%)です。
マーケターのほとんど(69%)が、動画を自分たちの会社で作っています。21%の人たちは、外部に依頼して動画を制作してもらっています。8%は社員が作った動画を主に使っています。そして、2%はお客さんやユーザーが作った動画を活用しています。このデータに関しては、正直驚きました。アメリカの事業会社は、外部の会社に頼らず自社内で動画を制作できる仕組みが出来上がっていると言えるでしょう。それだけ動画マーケティングに対して積極的に取組んでいるということです。「Video Marketer」という職種が存在することもうなずけます。
最近の聞き取り調査によれば、動画の品質とコンテンツ価値に対する視聴者の要望の高まりの傾向が強く、外部の支援会社への依頼も増加傾向にあるとのことです。
視聴者は目が肥えてきて、動画のクオリティにうるさくなってきていることが伺えます。
動画を制作する人たちは、動画を作るのに時間がかかると感じています(69%)。他にも、動画をコンスタントに作り続けることが難しい(56%)、十分な量の動画を作ることが大変(52%)も、よくある悩みです。
反対に、動画を作るための人がいないこと(43%)、動画を作る費用が少ない(40%)、高品質の動画を作ることが難しい(34%)、動画を作るための特別な技術が必要(31%)、どこで動画を使うのかを決めること(14%)
動画制作者のお悩みは日米で似たような内容になっていると感じています。
出典:Contents Marketing Institute 2023 Video Survey
【第二章 動画制作でのAIの使用:まだ少数のマーケターしかAIを活用していない】
さて、ここで最近話題になっているAIを使った動画制作について、調査結果を交えて考えてみましょう。
2023年後半の段階で、実際に動画制作にAIを活用しているマーケターはわずか18%です。しかし、AIを今は使っていないマーケターの3人に1人が、2024年中には使ってみたいと考えています。(37%は使う予定がないと言っていて、30%はまだ決めかねています。)
あるマーケターが、自由回答で動画制作でのAIの価値についてこう説明しています。「AIは動画制作の方法を画期的に変える可能性を持っています。脚本やストーリーボードの生成から、編集プロセスの自動化、視覚効果の向上に至るまで、動画制作の様々な段階でサポートできます。特に、動画制作の特定の側面をAIで自動化することで、大きな制作チームを雇うことに関連するコストを削減できる可能性があります。」
回答をいただいたマーケターのほとんどが、動画制作でAIを使うことに前向きです。彼らは、脚本を生成したり、効率を高めたり、制作プロセスを合理化したりするツールとしてAIを使うことに関心を示しています:
他の人は、AIが生成したコンテンツが不自然に見えること、倫理的な問題、コンテンツ制作における人間の関与が必要であることなど、懸念や留保を表明しています。
「脚本の下書きにAIを使うことには反対しないけれど、アイデアやビジュアルには?いいえ。人間のぬくもりが欠けてしまいます。」
「責任と信頼が最も重要です。脚本の開発や、ナレーションを支えるビジュアルの作成を助けるためにAIを使うことは考えられますが、それはコミュニケーション責任者によって編集・監督されるべきです。私が懸念しているのは、視聴者が実際に専門家/タレントが話していると信じ、ビデオが操作されていないと保証することです。」
「動画制作のためのツールとしてAIを使うことを考えています。クリエイティブなプロセスには常に人間の要素があります。AIは指示されたものを作ります。自律的ではありません!」
「私たちはAIを使ってボイスオーバーや一部のモーショングラフィックス、脚本作成に利用しています。それを越えて、私たちの会社は人物/イメージなどのAI使用に関するガイドラインを設けています。AIは動画をより効率的に制作するためのユニークな機会を提供しますが、倫理性や真実性の面で課題が生じる可能性があると思います。」
AIを使用しているマーケターの中で、最も多く使われているのは
動画脚本の作成(69%)、次いでビデオ編集(34%)、既存の脚本/テキストから動画を生成すること(26%)です。その他の用途には、モーショングラフィックスの追加(23%)、既存の動画から新しいコンテンツを生成すること(20%)、ローカライゼーション(10%)、その他(17%)が含まれます。
マーケターは、動画制作でAIを使う最大のメリットとして時間の節約をよく挙げますが、高品質なコンテンツが得られたと答えたのはたったの17%です。これは、マーケターが求めるビデオ製品を提供する点で、AIがまだ完全には対応できていないことを示しています。
他に挙げられたメリットには、動画制作プロセスの簡素化(59%)、コストの節約(47%)、コンテンツの多様性の増加(41%)、必要な人員の削減(33%)、複数のデジタルチャネルを維持する能力の向上(19%)があります。
動画マーケティング担当者の方々は、動画制作でのAI導入について以下のように締めくくられています。
「動画制作にAIを使うことは、時間を節約するという点で革命的な変化をもたらすかもしれません」「想像してみてください、ただのテキストのアイデアから数秒で本格的なビデオになるなんて、マーケターにとっては夢のような話です。」
「お気に入りのツールを手に入れたら、楽しみはそこから始まります。ソフトウェアの使い方をじっくり学び、さまざまなテキストプロンプトで実験し、あなたのアイデアが魅力的なビデオの形で生き生きとしてくるのを見てください。ただ、AIが生成したビデオは初稿として扱い、最終版ではないということを忘れないでください。とはいえ、AIを使うことで時間を節約でき、デジタルマーケティングの常に進化する世界で機敏でクリエイティブでいられるようになります。」
動画マーケティングに関してのビデオコンテンツについては、まだまだ続きます。Part 2をお楽しみに。
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